RSウイルスワクチン「アレックスビー」とは
- 2024年7月11日
- 予防接種
RSウイルス感染症は、乳幼児がかかることの多い感染症ですが、大人も感染することがあり、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方が感染するとインフルエンザ感染症よりも重症化しやすいことがわかっています。
2024年1月に、RSウイルスワクチンである「アレックスビー」が発売になりました。
これまでは大人に接種可能なRSウイルスワクチンはなく、RSウイルス感染症の予防は、マスクの着用や手洗いなどの基本的な感染対策が中心でしたが、今後60歳以上の方はアレックスビーの接種によって、感染を予防できる可能性があります。
最近、外来でアレックスビーについて質問を受けることがありましたので、ここでは、アレックスビーの特徴と効果について解説します。
RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症は、一般的にはこどもがよくかかる病気で、何度も感染を繰り返します。発熱・鼻水・咳のようなかぜ症状で終わることがほとんどですが、重症化すると気管支炎や肺炎になってしまうこともあります。特に、生後6か月までの赤ちゃんが感染すると重症化しやすく、大人の場合も高齢者や基礎疾患(喘息・慢性閉塞性肺疾患・心疾患・糖尿病)のある人、免疫機能が低下した人は、重症化のリスクがあります。 高齢者では死亡者数が多い感染症の1つであり、アメリカCDCでの発表によるとアメリカでは年間6万人〜16万人の高齢者がRSウイルス感染により入院し、6,000~10,000人が死亡していると推定されています。また、日本でも毎年60歳以上の成人でRSウイルス感染症によって63,000人の入院と4,500人の院内死亡が推定されています。
RSウイルス感染症の予防は、これまではマスク着用や手洗いなどの基本的な感染対策が中心でしたが、2024年1月にRSウイルスワクチン「アレックスビー」が発売され、60歳以上の方はワクチンによって感染を予防できるようになりました。
アレックスビーとは
アレックスビーは、60歳以上の方に使用するRSウイルス感染症のワクチンで、1回0.5mLを筋肉内に接種します。効果としてはワクチン接種後6〜7か月の追跡期間で、高齢者(60歳以上)のRSウイルスによる下気道感染を82.6%予防しました。アレックスビーは60歳以上が対象ですが、特にRSウイルス感染症の重症化リスクが高い方に勧められます。アメリカのCDCでは以下のような方を対象としています。
・高齢者
・慢性の心臓または肺疾患のある成人
・免疫力が低下している成人
・特定の基礎疾患のある成人
・老人ホームや長期介護施設へ入所している成人
アレックスビーの副反応としては筋肉注射のため、「注射を打った部位の痛み」が最も多く、赤くなったり腫れたりすることもあります。また、頭痛・疲労・関節痛・筋肉痛などの副反応を認めることがあります。
金額は24,000円(税込み26,400円)です。現時点では1回の接種で2〜3年の有効期間とされています。
高価なワクチンとなりますが、60歳以上の方や呼吸器疾患や心疾患、糖尿病をお持ちの方は、ご検討ください。
接種ご希望の方は必ずご予約をお願い致します。在庫はおいておりませんので、都度の取り寄せとなります。