インフルエンザ予防接種どうします?
- 2023年9月18日
- お知らせ
この3年間、日本ではインフルエンザはほとんど流行していませんでしたが、新型コロナの感染対策が緩和され入国者が増加したことやマスクの着用率が低下したことから、今年はまだ9月にもかかわらず流行し始めており、当地域でもインフルエンザ集団感染による学級閉鎖や学校閉鎖が出てきております。
インフルエンザ予防接種を受けた方が良いのか、効果はどうなのかよく質問を受けますので、今回はインフルエンザワクチンの接種方法、効果、副反応についてまとめてみました。
<まとめ>
・インフルエンザワクチンの効果は発症予防効果は40~60%、重症化予防効果は60~80%と考えられる。
・インフルエンザワクチンは効果がはっきりするのは2週間くらいから、徐々にワクチンの効果が減少するものの、6か月くらい持続する。
・インフルエンザワクチンの副反応は、10~20%の方に局所反応、5~10%の方に全身反応が生じることがあるが、いずれも2~3日で消失される。
・インフルエンザワクチンは生後6か月以上経ったすべての方に推奨されるが、特に基礎疾患や高齢者の方、乳幼児の方、妊娠している方などは特に接種が推奨されている
・今年はすでに流行しているため、接種可能となれば早めの接種が望ましい。
*接種方法
接種方法としては皮下注射で、当院では上腕(二の腕)の外側に注射することを基本としています。
13歳以上~成人の方では、0.5mLを1回だけ接種すれば十分な抗体(血液中の免疫力のもと)が得られると考えられています。
お子さんに関しては、6か月以上の乳児から接種可能です。
日本では6か月~6歳未満までは、0.25mL、6歳以上は0.5mLを2〜4週の間隔をあけて2回接種が推奨されています
一方でWHOでは以下の接種方式が推奨されています。
生後6ヶ月~9歳未満
・過去にインフルエンザワクチンを接種したことが無い、もしくは1回しか接種したことが無いお子さんは2回接種が必要
・過去に2回以上インフルエンザワクチンを接種したことがあるお子さんは1回の接種のみで良い
9歳以上
・過去の接種歴に関係なく、すべての方が1回接種のみ
お子さんは2回接種した方が得られる抗体は多くなります。しかしながら、1回の接種でもある程度の抗体が得られることや痛みなどの苦痛を考慮して当院では1回接種方式も行っております(2回接種希望のお子さんは2回接種可能です)。
*効果
発症予防効果(感染しても症状が出ない) 高齢者:34〜55% 小児:60%
重症化予防効果 日本の65歳以上の高齢者で死亡する確率が82%減少
・発症予防効果
アメリカCDCでの報告によると、「インフルエンザワクチンを接種することで、インフルエンザで医療機関に受診するリスクが40%から60%減少する」としています。
国内の研究でも、65歳以上の高齢福祉施設に入所している高齢者については34~55%発病を予防したとのことです。人種に問わず似たような傾向が見られますね。
また、子供についての発症予防効果も検証されており、日本で行われた2015年の報告によると、「6歳未満の小児を対象とした、インフルエンザワクチンの発症予防効果は60%であった」としています。
・重症化予防効果
厚生労働省では特に重症化予防効果を重視しており「インフルエンザワクチンの最も大きな効果は『重症化』を予防すること」と記載しています。
国内の高齢者を対象とした臨床研究では82%の死亡を阻止したと報告されています。 また、子供についてもインフルエンザワクチンによる重症化予防効果が示されています。2022年の調査によると、「インフルエンザワクチン接種により子供の生命を脅かす重度のインフルエンザのリスクが75%減少した」と発表されています。子供は特にインフルエンザにより重症化しやすいグループの1つですので、生後6か月以上の子供にインフルエンザワクチン接種は特におすすめされます。
*インフルエンザワクチンはいつ接種するべきか?
インフルエンザワクチンは接種後2~4週間で十分な抗体ができるとされています。抗体は3か月程度、ピークに近い十分な量が続き、5~6か月で徐々に低下していくと考えられます。例年のインフルエンザの流行期間は1月~3月までが多く、通常は10~12月ごろの接種で1シーズンはカバーできるものと考えられますが、今年はすでに9月の段階で流行しております。10月2日以降接種が可能となりますので早めの接種をおすすめします。
*副反応
インフルエンザワクチンは安全性は極めて高いものと考えられていますが、軽微な副反応は存在します。比較的多い副反応として、10~20%の方に、打った場所が腫れる、痛みが出てくるなどの症状がでることがありますが、通常は2~3日以内に改善します。また、5~10%の方で発熱やだるさなどの全身症状が出る場合がありますが、これも通常2~3日以内で改善します。
ごく稀な合併症としては、アナフィラキシーショックといって、全身性のアレルギーで唇の腫れや高度の蕁麻疹、喘鳴、下痢、呼吸困難、血圧低下などの重篤な症状を来すことがあります。多くは30分以内、通常は長くとも24時間以内に発症するもので、上記兆候がある場合には当院もしくは救急医療機関にかならず受診してください。また、アレルギー体質の方、以前インフルエンザでアレルギーが起こった方は注意が必要で、複数回の接種でアレルギー症状がより強く出ることがあります。問診票でも確認しておりますが、アレルギー歴がある方はご申告をお願いします。
*インフルエンザワクチン接種が特におすすめされる方は?
厚生労働省は「生後6か月以上のすべての方が、毎年のインフルエンザの予防接種を受けることを推奨」としています。また、日本感染症学会では、特に下記の因子を有する方は、インフルエンザに罹患した場合の合併症のリスクが高いことが知られており、特に接種がおすすめです。
・6か月以上5歳未満の方
・65歳以上の方
・慢性呼吸器疾患を持っている方(気管支喘息やCOPDなど)
・心臓・血管系疾患を持っている方(高血圧だけの方を除く)
・糖尿病・肝臓・腎臓などの疾患を持っている方
・妊娠している方
・長期療養施設の入所者
・著しい肥満を持っている方
・がん疾患の方
以上インフルエンザの予防接種についてよく質問を受ける内容をまとめてみました。
特に基礎疾患がある方や高齢者の方、乳幼児の方、妊娠している方などは接種をご検討ください。