高血圧の診断基準変わったの? 変わっていません
- 2024年7月11日
- 生活習慣病
最近患者さんに「今年になって高血圧の基準値が140以上から160以上に変わったから、薬を飲まなくても良いのではないですか」と聞かれることが何回もありました。以前よりも血圧が高くても許容されるようになったと一部で報道があったことが原因のようですが誤解です。
結論から書くと、高血圧症の診断基準は収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上(74歳以下の方や糖尿病や慢性腎臓病をお持ちの方は収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧80mmHg以上)と全く変わっていません。
今回の報道は令和6年度からの特定健診で用いられている血圧受診勧奨判定値(すぐに医療機関を受診すべき血圧)が160/100mmHg以上に変更となったことから、高血圧の診断基準も変更になったという誤った報道がされているものと思われます
日本高血圧学会は高血圧治療ガイドライン2019年版で血圧が高い場合には以下の対応を推奨しています。
- 収縮期血圧が160mmHg以上 又は拡張期血圧が100mmHg以上
→①すぐに医療機関の受診を
ただし、脳卒中や心臓・腎臓の病気、糖尿病をお持ちの方は、高血圧が合併すると脳卒中・心臓病・腎臓病の悪化や再発のリスクが高まるので、上の血圧が140以 上、下の血圧が90以上でもすぐに医療機関の受診を。
- 収縮期血圧が140〜160mmHg 又は拡張期血圧が90〜100mmHg
→ ②生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関の受診を
この中の①の部分を指して、高血圧の基準が160/100mmHgになったと報道されているのですが、実際には高血圧の診断と治療の基準は全く変わっていません。
今まで高血圧の治療を受けていた患者さんが、急に血圧の薬を中止あるいは減量したりできるようになったわけではありません。
血圧の改善には以下の生活習慣の改善が有効とされています。
- 体重を減らす
- 適度な運動をする
- お酒を控える
- 塩分を減らす
- 野菜と果物を多く摂る (糖尿病をお持ちの方は果物の摂取は控えめに)
これまで通り、生活習慣病の改善に取り組んでいきましょう!