高血圧のガイドラインが改定されました 〜血圧を下げるにはどうすればいい? 血圧はどのくらいに管理するのがベスト?〜
- 2025年11月23日
- 生活習慣病
2025年8月、高血圧診療に関する新しいガイドラインが発表されました。このコラムでは、主な改定ポイントと、食事・運動など日常生活で役立つ対策についてわかりやすくご紹介します。
まず最初に
今回もっともお伝えしたいメッセージは、「血圧は、体にムリなく達成できる範囲で低いほど望ましい」という点です。
高血圧は将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高め、日本では年間約17万人が高血圧が原因となる病気で亡くなっています。
では、どうすれば血圧を下げられるのか。ここから詳しくお伝えしていきます。
①ガイドラインはどこが変わったの?
日本高血圧学会が6年ぶりに改定した「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、生活習慣の改善と日々の血圧管理をこれまで以上に重視する方針が明確になりました。
主な変更点は以下のとおりです。
・高血圧の診断基準
家庭血圧 135/85mmHg以上、診察室血圧 140/90 mmHg以上(従来どおり)
・家庭血圧の重要性がさらに強調され、家庭での血圧測定が治療・管理の第一歩として位置づけられました。
・治療の目標血圧
家庭血圧:125/75 mmHg未満
診察室血圧:130/80 mmHg未満
年齢・性別・持病にかかわらず統一されました。
・食事・運動・減塩・禁煙などの生活習慣の改善が、薬物療法と同等以上に重要な柱として明記されました。
②家庭での血圧測定の重要性
家庭で測る血圧は、診察室よりも 普段の生活に近い状態 を反映します。
特に「朝の血圧(起床後1時間以内)」は、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクと強く関係するとされています。測定した値はアプリや血圧手帳に記録し、日々の平均値 を確認しましょう(1回ごとの上下より平均値の方が重要です)。なお、測定には 上腕式の家庭血圧計 が推奨されています。
家庭血圧の測り方(推奨手順)
- 朝:起床後1時間以内、朝食前、排尿後に測定
- 夜:就寝前に測定
- 1回につき2回測定し、平均値を記録
- 1〜2週間分の記録を医師に提出
③血圧はどのくらいに管理するのがベスト?
治療目標は、
- 診察室血圧:130/80 mmHg未満
- 家庭血圧:125/75 mmHg未満 に統一されました。
これまで75歳以上の高齢者では家庭血圧135/85 mmHg未満が目標でしたが、125/75 mmHg未満へ引き下げられたことが大きな変更です。 これは、収縮期血圧(上の血圧)を130未満に管理すると、高齢者でも心臓病や脳卒中のリスクが確実に減るという研究結果にもとづいています。
ただし、めまい・ふらつきがある場合は転倒リスクが高まるため、血圧の下げ過ぎには注意が必要 です。
④生活習慣 〜今日からできること〜
⚫️食事:減塩とカリウム摂取を意識しましょう
・減塩目標:1日6g未満
(麺類の汁は残す、味噌汁・漬物を控える、出汁・ハーブ・香辛料で味つけを工夫)
・カリウムは血圧を下げる作用があるため、積極的に摂取しましょう。
野菜(ブロッコリー・枝豆・ほうれん草など)、果物(バナナ・アボカド・キウイな ど)、海藻、大豆食品などに多く含まれます。
※腎不全の方はカリウム制限が必要な場合があります。
⚫️運動
・ウォーキング・速歩・水泳などの有酸素運動を。30分 × 週5日 を目標に。
・週2〜3回の筋力トレーニングも推奨されています。
⚫️体重管理
・体重1kg減で血圧が1〜2 mmHg低下 します。
・BMI 25未満を目指しましょう。
⚫️禁煙
タバコは血管を傷つけ、血圧を悪化させる大きな要因です。禁煙を強くおすすめします。
⚫️十分な睡眠
6−8時間の睡眠を心がけましょう。
⑤お薬の使い方
まず1剤で開始し、目標に届かなければ 早めに2剤・3剤を併用 します。糖尿病や腎臓病を合併している場合は早期から複数の薬を併用します。これは、目標血圧に達するまでの期間を短縮し、合併症リスクを減らす ための方針です。
当院の取り組み
当院では、このガイドライン改定を受けて、次のように取り組んでまいります。
⚫️食事・運動・睡眠・ストレス管理・減塩など、生活習慣改善のためのアドバイスを強化いたします。
⚫️血圧が高め(診察室で 130〜139/80〜89 mmHg、家庭血圧で 125〜134/75〜84 mmHg 程度)でも、早めの“管理”をはじめることで将来のリスクを減らせる可能性があります。お気軽にご相談ください。
⚫️お薬が必要と判断された場合には、最新のエビデンスとガイドラインにもとづいて、最適な治療を提案します。
血圧が高めの方、ご心配な方はお気軽にご相談ください。
